定型約款とは?

先日、静岡県行政書士会清水支部・静岡支部共催の
民法改正講習会(第2回)に行ってきました。
下平先生のお作りになったレジュメが分かりやすく、
後でいろいろ読み返しながら復習しています。

以前の記事でも触れましたが、
民法の債権法はかなりのボリュームのある大改正で
高度に発展した現代社会に合わせるために民法の条文を
オーバーホールするような改正になっています。

自分が現在進行形で学んでいる民法と大きくズレるわけではありませんが、
判例や学説で意見が分かれていたのも、
条文そのものの不備、国民に分かりにくい表現…などなど
現代社会にあった形に修正が図られています。

民法を学んだ人間として結構衝撃を覚えたのは
瑕疵担保責任の捉え方が法定責任説から契約責任説へ大きく舵を切った部分です。
なぜ衝撃を覚えたのかというと、
この部分が難解で試験勉強のときに苦労するからなんです(笑)

一般の生活の中で影響を受ける部分の中で今回は
「定型約款」についてブログで紹介します。

約款(やっかん)というものはいろんな場面で見かける契約書です。
現代社会においては、大量の定型的な取引を迅速かつ効率的に行うために、
契約の一方当事者があらかじめ一定の契約条項を定めた
いわゆる「約款」というものが多く使われています。

駅やバス、飛行機などの公共交通機関を利用するときに
やたら細かい文字でつらつらと書いてある「約款」を目にすると思います。
保険契約書の裏にある「コレ、誰が読むんだろう」(本当はしっかり読まなきゃダメですね)
と思うくらい小さな文字で書かれたアレです。

巷に溢れている「約款」について現行法には、
このような約款に関する規定がなく、
約款に法的拘束力が認められる根拠が明確になっていませんでした。

そこで、新法は、民法の規律の対象となる約款「定型約款」として、
その定義を定めた上で、定型約款が契約の内容となるための要件
定型約款の変更などについて規定しました。

みなし合意の規定や不当条項の排除、定型約款の内容の表示についてのルール、
定型約款変更の合意のみなし…
契約する当事者のバランスや迅速化、取引の安全を図るための条文を
改正新法ではしっかり明記しています。

そして、特に重要なのが定型約款の定義です。
この定義に当てはまるか否かで民法の条文による規制の対象かどうかの分かれ道になります。
この定義がとても分かりにくいのですが、一応硬い文章で丁寧に書きます。
「堅い法律家の文章で分からんぞ!」とお思いかもしれませんが、
非常に重要な部分ですのでご容赦下さい。

定型約款の定義

定型約款とは、①ある特定の者が不特定多数の者を相手方とする取引であって、
②その取引の内容の全部または一部が画一的であることが当事者にとって合理的なもの
「定型取引」と定義した上で、③その定型取引において契約の内容とすることを目的として
その特定の者により準備された条項の総体をいう。

定型約款に該当するためには上記①から③までの要件を満たすことが必要です。

【該当例】
鉄道・バス・航空機等の旅客運送約款、電気・ガス・水道の供給約款、保険約款、預金約款
インターネットサイトの利用規約、コンピュータのソフトウェアの利用規約

【非該当例】
労働契約書、事業者間取引で一方が準備した契約書の雛形…など

易しい言葉で言い換えると民法で守らなきゃいけない取引を
民法は定型取引と呼んでいます。
民法で保護する取引なのでBtoB(企業間)の取引は定型取引にはなりません。
BtoC(企業と顧客の間)の取引にこの定型約款が登場します。
約款についてしっかりと民法が定義したところに意味があります。
一般人の私たちにとっては今まで通りの生活をしていて問題ありません。
それは民法がしっかり規制してくれるからです。
しかし、企業側は民法の規制によって慎重に「定型約款」を扱わなければなりません。

慎重に扱ってもらうところに意味があるのだと思います。

 

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